食べる・学ぶ・作る

おきたま興農舎(山形県)を訪問してきました! 食いしんぼう通信 No.32

2017年9月29日〜30日、稲穂が黄金色に染まって美しい山形県南部、置賜地方のおきたま興農舎を訪れました。
代表の小林亮さんをはじめ、多くの生産者さんから直接お話しを聞き、田畑を見学させていただきました。
「農業は生き方」という小林さんのお話しに一同強い感銘を受けて帰ってきました!

おきたま興農舎農作業

◎おきたま興農舎の栽培方法について

「土は命」と考え、農薬や化学肥料を使わないだけでなく、体内を酸化させ、健康を害する最大の原因「亜硝酸窒素」を取り込まないように、土壌改良に取り組んできました。
その工夫の一つとして天然多孔質土壌改良資材タフライトを使用しています。ミネラル分が多く、カドミウム・水銀などの重金属と放射性物質を吸着固定する働きがある100%天然鉱物です。これはとても高価なものです。
ナチュラルコープ生産者の大原さんも使っていることを、以前お会いした時に知って驚いたそうです。
おきたま興農舎のお米は普通の米より劣化が遅いことが確認されています。これは、土が違うからです。

◎有機特別栽培米専用施設 米工房たかはた

おきたま興農舎米工房

おきたま興農舎専用の乾燥調整貯蔵精米作業自己完結設備です。
米の品質を守る低温籾貯蔵施設は全国でも福岡とここにしかありません。お陰で他の米と混ざる心配もなく、有機栽培米農家の励みになっているそうです。

◎在来種を守る〜ほうれん草「山形あかね」伊藤さんの畑

おきたま興農舎在来種ほうれん草「あかね」
伊藤さんから詳しくお話しを聞かせて頂きました

「山形あかね」は山形で古くから受け継がれてきた品種です。根元の赤みが濃く、甘みが強いのが特長です。
肥料はボカシとホタテ貝殻だけの有機肥料、農薬は使わずに作っています。
播種がたった一日違うだけで、その後の生育に大きな差が出ているのを見せていただき、農業の難しさと自然の不思議さを感じました。

おきたま興農舎ほうれん草畑
畑の右側は左側より1日遅れて播種しただけで、その後の生育に大きな差が出ている

曲がりネギも在来種で、播種から収穫するまで3年越しになるそうです。
手間がかかるけれども美味しく栄養価が高い在来種を、私達も食べることで関わることができます。後世に伝えていきたいと思いました。

◎カブトエビが棲む吉田さんの田んぼ

カブトエビが吉田さんの田んぼに棲みはじめてから、低農薬から無農薬に切り替えました。カブトエビは2億年前からいる生きた化石といわれる生き物です。大量発生して田んぼの底をかき回すことによって、除草効果があります。
吉田さんの田んぼは、無農薬で、肥料は元肥(もとごえ)一回のみ、余分な養分は入れずに育てているそうです。
おきたまの皆さんは、畑や田んぼは場所によって土質が違うので、育てている作物のことだけでなく、その場所ごとの特長をすべて把握して、農作業をされています。

◎おきたま興農舎の人たち

おきたま興農舎集合写真
生産者と消費者との集合写真 お話しが尽きませんでした

代表の小林亮さんは、子ども達に良いものを食べさせたい、という想いで11人で「おきたま興農舎」を始めたそうです。亮さんご夫婦、亮さんの農業高校時代からの友達、亮さんの生き方に惹かれた人達と一緒に運営されてきて、29年経った今では参加農家は120軒、社員は10名ほどになりました。
「周りからは、一筋縄でいかない頑固者だと言われているけれども、だからこそ、変わりない品質のものを提供できる」
と、仰っていましたが、皆さんが個性的です。
「有機栽培の方法は、自分たちで見いだしていく。誰も教えてくれないし、世間では無理だと言うけれども、実際にやってみるとできる。リスクが大きいし、農産物の価格は高くなるけれども、収入は減る。それでも、自分たちが健康でなければ、消費者にも健康な作物を届けられない」
という想いから、安全で美味しい作物を私達に届けてくださっています。
今回、「消費者の責任」について、考えました。ただ安い農産物を買うだけでなく、しっかりと考えている農家さんと顔の見える産直交流を続けて行くことは、日本の農村を守ることにつながると思うのです。
自分が「何を買うのか」が社会を動かします。

食いしん坊通信 vol.32 by 商品委員会より

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