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生協設立30周年記念 講演会「食の安全問題の最前線」&組合員交流会 報告

食の安全問題の最前線1天笠先生
             講師の天笠啓祐氏
 2月24日(金)、生産者業者協力会〈萌の会〉との共催で生協設立30周年記念の講演会&組合員交流会が開かれました。

前半は「食の安全問題の最前線 あぶない食べもののはなし」と題し、講師に天笠啓祐氏をお迎えしてご講演頂きました。

「30周年おめでとうございます。設立された1986年はチェルノブイリ原発が爆発しました。そして福島の原発事故と波乱万丈の30年でした。…」という言葉で始まった講演は、約2時間にわたり、今、世の中で起きていることを事細かに解説頂きました。

 

★トランプ政権の誕生、今後どうなる?★

米国でトランプ政権が誕生しましたが、これを予測した人がいました。何故か?クリントンさんでは米国の政治・経済が変わらないからです。変わることを求めた世論が後押しました。
TPPは日本の国会では批准されましたが、今後二国間協定の議論が始まります。TPPは多国間なので秩序が保たれますが、二国間はそうではなくなります。さらに悪くなるのは目に見えています。

★グローバル化は食の安全を脅かす★

中国産毒ギョーザ事件…かつて、冷凍食品は安全と思われていました。しかし実態は、中国で作られ、検疫のチェックなしに食卓に上りました。中国産冷凍餃子は40個で380円。この価格は何をもたらすでしょうか?
対抗する為に、国内での価格競争が起き、買い叩かれ、コストダウンに圧力がかかります。
北海道でこだわりの豆腐を作っていた業者さんに大手のスーパーから声がかかり、良い条件で取引ができ、売り上げが伸びました。その後、圧倒的に取引が多くなった時に買い叩きが起き、倒産。大企業に依存することの怖さがあります。

★米国産穀物によって蹂躙される食卓★

トウモロコシの国内自給率は0%。国内で使用する半分近くを米国から輸入しています。消費量は年間1600万トン。米(コメ)の約2倍。コーンスターチを原料にして作られる異性化糖は砂糖の消費を上回ります。甘さを米国に依存しており、甘味が支配される構造になっています。

★国内食品産業で今後予想されること★

輸入食材の増加による労働条件悪化によって現場の荒廃が起き、企業モラル、安全性が低下します。安いものが入ることにより国内食品産業が荒廃するのではないかと、私は心配しています。
国内の産業を支えるのは消費者に課せられた課題です。

★生物は共有している★

人間と線虫の遺伝子は95%が共通しています。仲間なので、殺すことにより、影響が出るのは当たり前です。
一例として、文部科学省が公開している調査では、発達障害児が急増しており、その原因として、殺虫剤・防虫剤が子どもの脳の発達を阻害するからという研究結果が、アメリカで報告されています。
子どもたちの健康の為に大きく社会を変えなければなりません。

★これから必要な事★

*食の自給と安全を守ることは私たちの未来を守ること
*世界規模ではなく、地域からの取り組みを進める
*生産者と消費者が共に手を携えて日本の農業を守り、食の安全を守る

志を同じくして取り組んでいる人がたくさんいます。取り組みはグローバル化し、多様化し、連帯します。取り組みを基盤にもう一つの世界を作りましょう。生協運動は優れた活動です。

食の安全問題の最前線2
             生産者、メーカーと消費者が交流できるのがナチュラルコープの強み

質疑応答を挟み、後半は全国各地からご参加くださった生産者の皆さんと組合員の交流会が行われました。今回の交流会では、スペシャル企画として、川崎北部水産加工販売の大林社長が目利きをした魚を使用し、大林社長自らがそのネタで握りずしを振舞い、大盛況でした。
他のメニューも会場となったハーバーズ・ダイニングのシェフが、ナチュラルコープのこだわり食材を使用し、打ち合わせを重ねて考案したとあって、「嘉山さんのイチゴケーキ」や「置賜つや姫カレー」など美味しい料理を前に皆さん話が弾んでいました。
食の安全問題の最前線3
     いつでも楽しく活動しています