ナチュラル語り

ナチュラル語り 美味しいお米の秘密 おきたま興農舎

ナチュラル語り:おきたま興農舎

環境

山形県は県別自給率で米は500%、野菜も果物も100%以上生産する農業県です。
私達は南部の特別豪雪地帯、2,000m級の山々に囲まれた置賜盆地で稲作をしています。
鮮やかに四季が移り変わり昼夜の温度差の大きい気候は、全国コンクール上位常連の米やブランド牛の米沢牛をはじめとした極上の農産物を育てます。
置賜地方は有機農業運動の歴史も古く、有機農家グループも多数活動しています。
しかし農林業が廃れて手薄になってきた中山間部では、ニホンザル・クマ・ニホンカモシカ・イノシシ・シカといった獣と、人との縄張りの前線がどんどん獣に押されている現実もあります。

栽培方法

私達は収穫量だけを追わずに田んぼが健康な稲を育てる力を高めるため、病害虫の原因となる過剰な窒素成分と重金属などの有害物質を抑える粘土鉱物や、ケイ酸やミネラル豊富な蛇紋岩といった資材を使った土作りにこだわっています。
また木酢液や海藻エキスなど自然の力を活かして稲の力を引き出し、無農薬の田んぼでは除草のためにカブトエビを増やしたり鴨を放し飼いしたり工夫しながら、より健康でおいしい米作りを目指しています。
慣行栽培では田んぼが健康な稲を育む力が落ちてきています。
収穫量の確保を狙い、安い化学肥料だけ与え、不健康に育った稲の病害虫対策のために農薬を多用する悪循環に陥っているのです。

苦労とやりがいと

後継者がなく高齢化が進み廃業する農家が急増しています。
その農地を守るために現役農家の耕作面積が増えると機械作業はこなせても、除草剤を使わない畦畔の草刈りや、無農薬田の草取り、背負いの動力散布機による追肥など、どうしても人手で行う作業は効率化が難しく重荷になってきます。
農家が少なくなり周りに人が見えない田んぼで、手間のかかる作業を黙々と続けていると疲れも増す気がします。
逆に、毎年最高の出来ばかりではありませんが、土作りや手間をかけた結果、思い通りにならない天候や雑草に負けずに稲が順調に成長する様子が見られた時は嬉しいものです。

味じまん

お届けしているお米は、収穫期順に「ひとめぼれ」、「つや姫」、「コシヒカリ」です。

1956年生まれのベストセラー「コシヒカリ」は、味も粘りもしっかりとしています。
1991年生まれの「ひとめぼれ」は、ややふんわりしていて優しい感じ。
そして山形県生まれの新星「つや姫」は味が命の品種で、県内では生産者を限定し生育データを取りながら厳しく栽培管理されています。「コシヒカリ」よりもさらにうま味・甘み・粘りが直感的に楽しめ、おかずがいらないくらいおいしいお米です。噛めば噛むほど口の中に味わいが広がるように、水少な目でしゃっきり炊くのがおすすめです。冷めたほうが好きという人もいるくらい冷めてもおいしく、お弁当にもぴったりです。

今年の出来は?

今年は大雪でしたが雪解けは早く、春も好天が続きました。夏は置賜らしく昼暑く夜涼しく順調すぎるほどの生育で豊作の予想でしたが、穂が出てお盆を過ぎると気温が下がり雨が多くなり、急ブレーキがかかったような状況です。
それでも病気も少なく、稲刈りも暑すぎることなく品質良く出来そうです。
私達は自分の家族に食べさせたいお米を作り、毎日食べています。
私達の作ったお米を長年食べ続けてくださる皆さんの存在は、自分の家族と同じくらい励みになります。
特に親から子へ、また次の世代へと食べ続けることは、稲作農家の後継者にとって一番の励みです。
お互い元気にごはんを食べて元気な次世代を育てていきましょう。

おきたま興農舎
米担当 小林 温(ゆたか)さんより

 

おきたま興農舎の生産者情報はこちら